おせち料理には欠かせない「数の子」。ニシン漁の歴史を後世に残していくために活動を続けている、その思いとは
石井食品は、「農と食卓をつなぎ子育てを応援する企業に」を掲げ、地域と旬にこだわりながら、食の領域で生産者と生活者をつなげる活動を進めています。
石井食品が作る、農と食卓をつなぐおせち。
今回はおせちにはなくてはならない、「数の子」の産地である北海道に取材に行ってまいりました。
2023年10月17日、関東以西で夏日続出と、昨日まで半袖で過ごしてきた私たちは、数の子の加工をお願いしている「丸や岡田商店さま」に伺うため、北海道・苫前町を訪れました。朝の気温は5℃という寒さ!
ニシン漁で栄えた苫前町。60年にも及ぶ不漁の後、北海道のニシン稚魚放流のおかげで復活
丸や岡田商店さまは、昔、番屋を営むニシン漁の綱元でした。
番屋とは「ヤン衆」というニシン漁に従事する季節労働者の住居兼漁業拠点のことです。苫前町の隣町にある小平町には、国指定重要文化財である「旧花田屋番屋」があります。漁期には広い板敷の居間に約200人が寝泊まりし、食事をしたと言われています。
苫前町は北海道の西海岸に位置し、明治から昭和にかけてニシン漁で栄えてきた地区です。しかし、昭和30年に急にニシンは消えてしまいました。乱獲や海洋環境の変化により、60年にも及ぶ不漁が訪れることになったと考えられています。
創業1919年の「丸や岡田商店さま」の祖業はニシン漁の網元。現在では、漁獲が皆無になった日本海前浜ニシンは、北海道のニシン稚魚放流のおかげで復活しているとのことです。
北海道・苫前町の数の子のおいしさをより多くの方に知ってほしい
実際に代表取締役会長 岡田裕幹さまに質問をさせていただきました!
― 数の子(ニシン)の今年の状況はいかがでしょうか?
ニシンは、昨年並みの収穫量でした。石井食品のおせちに提供している数の子は、前浜物(目の前の海で水揚げされたという意味。)のため収穫後、時間を置かずに凍結をすることが品質にも繋がっているのです。
― 石井食品とのおせちの取り組みは、丸や岡田商店さまにとってどんな取り組みとなっているでしょうか?また、石井食品はどのような存在でしょうか?
北海道・苫前町の数の子のおいしさを、多くの方に知ってもらえることはとても嬉しいです。おせち料理をきっかけに、どんどん広げてもらいたいです。石井食品さんは、いい価格で、品質のよいものを販売してくれる。そして、北海道の食のレベルをあげてくれる存在です。
― 石井食品のおせちを購入するお客様へ、伝えたい素材を教えてください。
おせち料理は年に1度食べるものです。年に1度、子孫繁栄の思いが込められている、おいしい数の子を食べて、よい年を迎えて欲しいと思います。
ニシンの自然産卵を望み、ニシン漁の歴史を後世に残していきたいという思い
― 今後やりたいことを教えてください。
苫前町はニシン漁で栄えてきた地区です。私たちはニシンを大切にしながら、生きてきました。また以前のような栄えが復活してくれることを望んでいます。昭和30年に、急にニシンは北海道日本海から姿を消してしまいましたが、60年ぶりにニシンが復活しました。北海道が行ってくれている、ニシンの稚魚放流事業を継続してくれた成果です。しかし、今後もかつてのような漁獲を続けていれば、ニシンの数は減っていくでしょう。今後は、ニシンを乱獲せず、ある程度の暮らしが担保できるようなニシン漁やニシンの自然産卵を望んでおり、漁協と漁師の方々と協力してこの取り組みを進めていこうと考えています。また、ニシン漁の歴史を、後世に残していくために、会社の前に石碑も立てようと計画中です。
4~5月にかけて、海が凪いで穏やかな天気の時、海が真っ白になる、群来(くき:産卵のこと)が見られるようになってきました。運が良ければ見ることができますので、ぜひ日本海にお出かけください。
インタビューありがとうございました。
丸や岡田商店さまの数の子は『慶春譜』・『祝春華』・『豊春』に使用しています。ぜひ、この機会にご賞味ください。
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